SHUMAMB_CLTR

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趣味との付き合い方の話

 

「直感的なものを適度に避けることが、健やかに持続的に楽しく生きるコツだよ」と聞いたのが14歳のとき。直感的なものは薬と同じだから、と。

 

すべてに対してそれを実行するのは難しいけれど、日常的に触れるものや好きなことにおいては気をつけようとずっと心がけてきて、10年経った今では完全に身についている。

 

「自分の頭で考える」なんて言い方をしてしまうとそれは思い上がりというか、人間の能動性の過信であって、実際には回路のようなフィルターのようなものを通していく感覚だろうか。体系的に必死に学ぶということはしなくてもいいから、必ず自分なりの理解、解釈、整理を一枚挟むように、と。それだけで、どんなに好きなものでも中毒化することを防ぐことができて。

 

少し前に、すごくよいことを言っている方がいた。それが下のツイート。

 

 

所謂「エモさ」なんかは本当に恐ろしくて、そのせいで気持ちが不安定になってしまっている人をよく見かける。一度そうなってしまうともう、趣味として冷静に楽しむことはできなくなるのだろう。その要素がないと物足りないというか、そこが趣味と中毒の違いで、明らかに視野が狭くなり可能性が狭まってしまう。

 

つくる側も勿論そのことを理解しているから、売れるためにはとどんどん多様性が失われていくよね。そうやって画一化されたものが、大衆芸術なのかな。音楽は特に、そうなりやすい。だからこそ、エモさを排除しつつメインストリームにのせてくるミュージシャンは本当に貴重で尊い

 

「結局は好みだなんて言う人がいるけれど、好みとは違う絶対的な面白い/面白くないは確かに存在する。芸術には確かに正解は無限にあるけれど、不正解はその100倍ある。そういったことも見分けられるようになるよ。」と冒頭の言葉を聞いた当時にあわせて教えてもらった(10年も前の話だから正確な言葉はあれだけど)。自分はまだ自信を持って判断することができないけれど、最近やっと少しずつわかってきたような。少なくとも、面白いことやものに共通する条件の幾つかはわかるようになった。面白くないものの条件もね。

 

あとは、住み分けの話。

 

向き合い方ということで言えば、研究感覚の人と、中毒化層と、ライトな層と、あとはファッション感覚の人、それくらいで全て網羅しているだろうか。これまで、10代の頃に同じような感覚で音楽を楽しんでいた人たちの、向き合い方の面での残念なところを山ほど見てきて、悲しくなることが多かった。けれど、住み分けを意識し始めてからは気にならないようになった。自分も、例えば洋服なんかは多少は気にするし興味もあるけれど、趣味という感覚は全くなくて、探究心もなくて、そのスタンスを悪く思う人もいるのだろうなと考えたら同じことだった。

 

そういった意味では、この前の海保さんの記事はよかったと思っている。あの記事のビジョンはすごく好きで、ただ、そんな方法では実現しないだとか言葉選びが悪いとかで酷く叩かれていたね。叩かれることを残念とも思ったけれど、効果はあった。ああやって露骨に寄って集って希望を潰しにかかる光景を見て、そしてゴッチ氏が非常にバンドマンらしい酷い(表現を合わせるのなら「価値の感じられない」)たわごとを言ったことで、それを見た音楽ファンとバンドファンの意見が綺麗に分かれた。当初の目的というか、ご本人の意志とは全く違うだろうけれど、住み分けを促す意味ではよい流れがきていると思う。各々が思う健全な状態が違うだけであって、どの状態が正しいということはないし、そもそもファインアートや商業音楽や馴れ合い音楽を同じシステムで成り立たせられるはずがないから。いや、お互いに境界線を越えてはならないということではなくてね。

 

住み分けだとか環境の話から、個人としての話にまた戻る。

 

もうそろそろ25歳になるということもあって、いい大人として、趣味とのうまい付き合い方はこれまで以上に考えるようになってきた。はじめのほうに、必ずしも学ぶことに必死にならなくてもよいと書いたけれど、初学者として新しいことに触れ続けてもアトラクション感覚でしかなくて、いつになっても新鮮さしか感じることができない。向き合うときの意識次第とはいえ、整理することのできる頭は欲しい。やはりちゃんと学んできた人に敵わないなと感じる部分も多いし。そのあたりは、ざっくりした言い方になってしまうけれど、得た情報を他へ活かせる形で、積み重ねられる形で、つながりを考えられる頭で、そんな意識で新しいものに触れていくことが充実へつながると思っている。不自然に知識を詰め込んで専門知識で語る必要などないけれど、整理できる環境を頭の中につくっていくためにはひとつテーマを持つことは必要だ。そうやっていけば、うまく歳をとっていけそう。

 

ルーツなんかも意識するとよいのかな。平等に触れてきたつもりでも、早い時期に触れたものは記憶の仕方に癖があるから、どうしたって補正がかかる。自分のルーツ、起点という意味では、完全に山本精一だ。まさに、冒頭の話をしてくれた人が教えてくれたのがPARARovoだったし。中学生の時に教えてもらったその界隈を起点として、ツリーを描いていく感覚でこれからも趣味生活を送れたらいいね。

 

習慣化とは殆ど真反対に位置する所謂「豊かさ」を、生活が成り立つ範囲で意識していく(本当はルーティーン的なことを完全にゼロにしたいけれど、会社員としてそれは難しいからね)。こういった暮らし方は、本当におすすめ。依存とは無縁だし、綺麗なものも面白いものも本当に格段に増えるから。